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 記録1 - 対象者:Aruba・Crimson  
アルバの目的はなんなのだろうか、コイツがおねえちゃんに惚れるような性格には全くみえない。
ウチらには暴かれて困るような経歴はないけど、コイツの両親をウチらが殺してしまっていて恨みを買っている…というのもありえなくはないか。
コイツの過去についてはG.C.C.ならいくらか掴んでいるだろうし、少し探ってみよう。
......もし、例えば、本当に、コイツがおねえちゃんに惚れていたとしても、ウチが絶対に嫌いにさせてあげる。  
最悪の場合は、ウチが、必ず、[削除済み]

​ココ

「よおっ!! "アタシ達"に似合う武器って見つかった!?」
 顔を合わせる度飛び出す聞き飽きたセリフに商人はいつものように答える。
「それについてなのですが、余りにも強すぎる武器はつまらないと思うんですよねぇ」
"
軽くて振り回せば首が飛び",ボタン一つで火炎放射器ビーム砲に変形して一個大隊を蹂躙する火力を叩き出す遠距離近距離もスーパーカンペキにこなせる持ち運びカンタンな"暗器"なんて、
あらゆる技術の最先端を往くG.C.C.の力を持ってしても今すぐに作ることは不可能だろう。
もし、そんな超兵器が存在したなら、この世界はありふれたSF戦争映画のようになって、一般人はゴミ山の一部だ。エンドロールには"有象無象のボランティアエキストラ"として表記されるだけ。
「あまりにも強力な武器が流通してしまえば争いはなくなり、私のような個人の武器商人には仕事がなくなってしまうかもしれません」
一連の説得を聞き、覆面の女は表情が見えないながらもガックリと肩を落として残念そうに振る舞った。 「やっぱそうかあ...その武器さえあれば"アタシ達"の力を最大限に活用できて、他称[スーパーヒーロー]も夢じゃないんだけどなあ....」  
じゃあこんなのはどう?!と物語に出てくる科学的根拠のない理想を、身振り手振りと効果音を添えて喧しく語り出す。
語られる武器の仕様には非現実的な要素がまま見られる。
"
隕石を撃ち落とす銃"..."核エネルギー砲"....."刃こぼれのないレーザーソード"......
それらをウンウンと聴くフリをしたまま、商人はゆっくりと覆面の女へ近づき、真っ直ぐ彼女に瞳を据えて口を開く。
「....それよりも、私はCγbΕさんではなく"貴女自身"が欲しいモノを用意して差し上げたいのですが」
その言葉は相手を想いやるようにも聴こえる声色だったが、獲物を定めた蛇のような瞳と目が合い直感的に理解する。
今が任務中であれば、目の前の男が敵であれば殺されていたであろう、そう悟り冷や汗をかくほど商人と覆面の女の距離は近い。
「ァ...、貴女...? "アナタ"って言ったって..."アタシ達"は"アタシ達"だぞ!」  
情けない声を隠し距離をとって、威嚇するように少し腰を落とした。
商人を慣れた間合いに入れ、独学の軍隊格闘術で動揺から来る緊張と乱れた呼吸を調える。
「今こうして私と話している、赤みをおびた黄色をした"貴女".......もう御一方は灰がかかった緑色をしていらっしゃる」
商人はわけのわからないことをいいながら、覆面の女が臨戦態勢を取っているのにもかかわらずゆっくりと距離を詰めていく。
「どうやら私は、"黄色の貴女"に興味を抱いてしまったようで...適切な武器のカウンセリングだけでなく、"貴女自身"について知りたくなってしまいました.......」
その言葉が本心であろうとなかろうと、個人として興味を持っているという告白にかなり動揺してしまった。
覆面の女、双子姉妹の姉の方は個人を尊重されたことがない。
「ェ...ッと...."アタシ"について...?」
今までの人生で個人を主張する必要がなかった。
「ァ..."アタシ"は...ウーンと.....」
ずっと"妹を守る姉"として生きてきた。
「ゆっくりでいいですから、色々教えてはいただけませんか?」
殺しばかりの人生で、個人を主張する場面はなかった。
「まずはじめに、アタシの名前は.....」

ウチが個人を主張させなかった
.....まずはじめに、"オマエ"みたいな優男はタイプじゃない、かな
ぱすんっ、と短く電気を流したような音がし、左の首筋にペンタイプの機械を押し当てながら覆面の女は立っていた。
「おやおや.......これは大変失礼いたしました」
商人は一歩引いて頭を下げる。 謝罪の言葉とは裏腹に、珍しいものを見た少年のような、好奇心に充ちた声色を隠した商人は、さらに興味をひかれたようだった。
"アタシ達"は正義のヒーローだから、仕事に関わるものは一切妥協しないよ
獣みたいに睨みつけてみせても、今の恰好じゃ相手に伝わらないのは幸いか。
とりあえず今は、アルバからおねえちゃんの距離を置かせないといけない。
「承知しております。身を預ける"パートナー"は、仕事をこなす上でもっとも重要ですから」

じゃあ頼んだよ!と商人の背中を思い切り叩き、覆面の女は立ち去った。
 

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CγbΕ

​ヴィーラ

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